このページの最終更新日 2020年11月11日
民法370条は、抵当権の効力が抵当不動産に「付加して一体となっている物」にも及ぶと規定する。この「付加して一体となっている物」を略して、付加一体物あるいは付加物と呼ぶ。
つまり、抵当権の優先弁済的効力は本体である不動産のほか付加一体物にも及び、また、付加一体物を損傷したり搬出したりすれば抵当権の侵害となる。
問題は付加一体物の意味であり、付合物だけか、それとも従物をも含むかが論点となる。
たとえば、建物に取り付けた雨戸などの建具類*や、宅地に植えられた庭木は、それぞれ建物や土地の一部となり、その不動産の所有権に吸収される。これを付合という(242条参照)。
*建具類のうち、雨戸・戸扉は建物の付合物であり、畳・障子などは従物とされる。
抵当不動産に付合した物(付合物)は、不動産所有権に含まれるから抵当権の効力も当然に及ぶ。
抵当地上にある建物や登記した立木には、その土地を目的とする抵当権の効力は及ばない(370条本文、立木法2条)。
それぞれ土地から独立した不動産として扱われ、別個の抵当権の対象となる。
その他に抵当権の効力が及ばない物として、次のようなものがある。
① 設定行為において抵当権の効力が及ばないと定めた物(370条ただし書)
② 詐害行為取消請求(424条3項)の対象となる債務者の行為によって付加された物(同)
③ 抵当不動産の所有者以外の者が権原によって付属させた物(242条ただし書)
抵当権設定当時の従物(抵当建物の畳・建具)にも及ぶ87Ⅱ(T8判)※設定後の従物には及ばない※工場抵当法2
◆抵当不動産の従たる権利(建物所有に必要な土地賃借権)にも及ぶS44判