このページの最終更新日 2020年11月7日
抵当権が成立するためには、次のような条件が必要である。
(1) 当事者間の合意
抵当権は、それを設定*する契約(抵当権設定契約)によってのみ成立する。
* 自己の財産の上に新たな権利をつくること。
抵当権設定契約は当事者間の合意のみで成立し、質権の設定契約のような目的物の引渡しは不要である(諾成契約)。また、何らの方式も要求されない(不要式契約)。
抵当権設定契約において抵当権の目的物と被担保債権が特定される必要があるが、それについては別のページで解説する。
(2) 目的物の処分権
抵当権が成立するためには、設定者(債務者または第三者)が目的物についての処分権*を有することが必要である。
* 目的物が他人の所有に属する物である場合のほか、目的物の所有者であっても、破産などによってその処分権を喪失している場合がある。
もっとも、他人の物を目的とする抵当権設定契約も有効であって、設定者がその所有権を取得したときに抵当権が成立する(大決T4.10.23)。
(3) 被担保債権の存在
被担保債権(抵当権によって担保される債権)がその発生原因である契約の不成立・無効によって発生(成立)しない場合には、それを担保する抵当権も成立しない(成立に関する付従性)。
もっとも、抵当権の付従性は被担保債権と抵当権が同時に存在することまで要求するものではなく、条件付債権や期限付債権その他の将来の債権について抵当権を設定することも可能である。
抵当権設定契約の当事者は、基本的に、債権関係の当事者である債権者と債務者である。しかし、それ以外の者(第三者)も設定契約の当事者となりうる。
債権者は抵当権の設定を受ける者(抵当権者)であり、債務者または第三者は抵当権を設定する者(抵当権設定者)である。
自己の財産の上に抵当権を設定した第三者を物上保証人と呼ぶ。
物上保証人は、自己の財産を他人の債務の担保として提供し、抵当権の実行がなされた場合にはその所有権を失うという責任を負う。しかし、保証の場合と違って債務自体を負担することはない*。
* 保証人は、主たる債務と同じ内容の債務(保証債務)を負う。
【未】
物上保証人の求償権372→351
事前求償権→460は無い(H2判)